Citrix on AHV 2019 Dec. Edition

このBlog はNutanix アドベントカレンダー2019 1枚目の12/18分です。

どうやら私の体内時計は2日ほどタイムラグがあるようです。
今度修理に出しておきます。


さて、昨年のNutanix アドベントカレンダーでは2018年版として次のBlog を投稿しました。
Citrix on AHV 2018 Dec. Edition

このBlog ではNutanix と Citrix の関係性や提供されている連携用のコンポーネントなどを紹介しました。「文末に具体的な設定方法は次回」と書いておきながらまるまる1年間放置してしまいましたが、まあよくある事だなと真摯に反省しております。

さて今年のBlog では昨年との変更点や実際の製品連携について書きたいと思います。


両社の関係性について
2018年8月にFrame の買収を発表して、Citrix Cloud が提供する"VDI コントロールプレーンのSaaS" という分野では一見競合関係になってしまいましたが、実際にはそれぞれのソリューションの立ち位置や方向性が違うため両社の関係性には悪影響が無さそうです。

例えるなら技術が売りのシュッとした美容室と駅前10分カットの違いでしょうか。髪を切るという目的は同じだけどユーザーは目的に応じて使い分けているので競合する事はほぼ無いのと同じという訳です。
ちなみに筆者はセルフカット派なのでどちらも馴染みが有りませんが。


昨年からの変更点
Nutanix AHV と Citrix Virtual Apps and Desktops(余談ですが最近はCVAD と略すようです。。)の製品間連携はNutanix 側がリリースしているPlug-in をCVAD の Delivery Controller にインストールしておこないます。
昨年のBlog では役割別に4つのPlug-in がある事を紹介しましたが、最新版では「AHV Plug-in」「Citrix Cloud Plug-in」「PVS Plug-in」の3つが一つに纏められて提供されています。これらはNutanix サポートポータルのダウンロードページやNutanix CE のダウンロードページから入手する事が可能です。
このPlug-in はWindows Server 2019を正式サポートしていないので注意が必要です。

Nutanix CE ダウンロードページより

Delivery Controller 上でインストーラーを起動すると、どのモジュールをインストールするか選択する形式になっています。
どのPlug-in をインストールするか選択する

それぞれの役割を簡単に説明すると

XD MCS AHV Plugin
CVAD のDelivery Controller もしくはCitrix Cloud Connector 上にインストールします。AHV をCitrix ワークロードの展開先ハイパーバイザーとして利用するために必要です。名前に"MCS"が入っていますが、イメージ管理をPVS で行う場合にも必要です。

CWA MCS AHV Plugin
Nutanix クラスターをCitrix Workspace Appliance* として利用するためにCitrix Cloud Connector 上にインストールします。これによりCitrix Cloud からオンプレミスのAHV をワークロード展開先として利用する際の展開やメンテナンスの省力化が可能です。

PVS AHV Plugin
PVS サーバー上にインストールします。PVS でAHV 上にワークロードをネットブート方式で展開するために必要です。

* Citrix Ready HCI Workspace Appliance Program


Citrix on AHV の設定方法

【ワークロードをMCS で展開する場合】
このパターンは非常に簡単です。クリーンインストールの場合はDelivery Controller をインストールした後、Citrix Studio で初期設定ウィザードを実行する前にPlug-in をインストールします。プラグインのインストーラーで「XD MCS AHV Plugin」を選択した後は分岐無しの一本道です。Plug-inのインストール後に再起動は求められませんので、そのままStudio に戻り初期設定ウィザードを開始します。
ハイパーバイザーの選択肢にAHV が加わりました

接続情報入力画面
接続アドレス: クラスターIPアドレス(仮想IPアドレス)
ユーザー名: "Cluster Admin"権限を持った管理者アカウント
パスワード: 上記アカウントのパスワード
接続名: 任意の名前

なお、ここのユーザー名はデフォルトのadmin ではなく新たに管理者アカウントを作っておくのがお奨めです。(もう一つのCitrix Director Plugin がデフォルトの admin アカウント名を受け付けないため)

上記手順でAHV をホストとして登録した後は、カタログ作成 - デリバリグループ作成 と通常の手順でワークロードを展開可能になります。


【ワークロードをPVS で展開する場合】
AHV 上にPVS でネットブート型ワークロードを展開するためにはPVS サーバー上に「PVS AHV Plugin」をインストールする必要があります。
インストール後に通常と同様の手順で「Citrix Virtual Desktop セットアップウィザード」を実行し、展開先のホストリソースとしてAHV 上の該当するVLAN を選択します。
サイト名の右クリックメニュー



また、VM をネットブートさせるためにはAHV 上のVM の起動順をネットワークからにする必要がありますが、これはCVM 上でacli コマンドで設定します。

AHV | How to select boot device for guest VM



【Citrix Cloud を利用する場合】
最後にCitrix Cloudと組み合わせる場合の展開方法ですが、Nutanix クラスターをCitrix Cloud に認識させるための方法は次の2種類があります。

1. Citrix Cloud 管理コンソールからCloud Connector のインストーラーを入手し、通常の手順で構築
2. Prism 設定メニューの「Citrix Cloud に接続」を利用して構築

この内1に関しては通常の手順でCloud Connector をインストールした後で「XD MCS AHV Plugin」をインストールします。

特徴的なのは2番目の展開方法で、こちらはsysprep 済みのWindows マシン(Windows Server 2012R2 or 2016)を用意しておくことで、ドメイン参加からCloud Connector のインストール、Nutanix Plugin のインストールまでスクリプトにより自動で行われる仕組みです。
なお、この展開方法を利用する場合は英語版OS の用意が必要です。日本語版だとスクリプトが途中で終了し、正常にインストールが完了しません。

こちらの展開方法の具体的な手順はNutanix からリリースされているStep-by-Step ガイドを参照します。

接続完了
接続が無事完了するとPrism 設定メニューの「Citrix クラウドに接続」の画面でコネクタ仮想マシンの接続ステータスが「接続済み」になります。

これ以降はオンプレ版CVAD と同様にCitrix Cloud 側のStudio を操作して仮想デスクトップ/アプリケーション配信環境を構築していけばOKです。


まとめ
全てを詳細に説明すると膨大になってしまうのでダイジェスト版になりましたが、Citrix on AHV の最新情報をお届けしてみました。
個々の設定方法やTips の詳細はニーズが有れば個別記事として纏めたいと思います。

最後に余談ですが、12/18 にCVAD の最新LTSR であるバージョン1912がリリースされました。早速ダウンロードして試してみましたが、このバージョンも上で紹介した「Citrix AHV Plugin 2.5」で動作させることが出来ました。

それでは。





コメント