一般的なご家庭と逸般的な誤家庭のNutanix CEクラスター

このエントリーは Nutanix アドベントカレンダー2018 2枚目の12/14分として投稿しています。

今回のテーマは自宅にNutanix Community Edition (以下CE)検証環境を作成する為の機材構成をテーマに書きたいと思います。Nutanix CEのインストールに関しては既に多くの先達がNested環境を含む様々なケースについて書かれていますので、このブログでは「ご家庭で無理のない範囲(人其々)でいかにリーズナブルに本格的な環境を整えるか」という点をテーマに書きたいと思います。


これまでの猛者達の四苦八苦闘いの記録はこちらから



まずは少し寄り道

自宅に検証用マシンを導入する場合、コストと同様に重視すべきは設置スペースの小ささである事は異論は無いかと思います。この場合、スペースを節約するための正攻法としては物理4Core CPU 搭載NUC にメモリ16GB以上積むというのが鉄板構成かと思いますが、ハイスペックなNUCは意外と高くつきます。
例えばこれとか(価格.com最安値 \51,000-程度、メモリ・Disk別途)

もっと安価かつコンパクトにNutanix CE環境を作るためのプラットフォームとして、AMD製4Core CPU(APU)を搭載するノートPC(中古実売¥15,000-程度)をチョイスするという手も有りましたが、手持ちの環境では最新版のインストールイメージ(ce-2018.05.01)ではプリチェックリストを編集してもInitializeでこけてしまい、インストール出来なくなっていました…
原因切り分けをしたかったが時間切れ


こちらに2年ほど前にインストールして使っていた時のインストール方法を残しておきますので、AMD CPU環境をお持ちの方、是非試してみてください。

(上手くいったら教えて下さい)

・マシンスペックは下記

ThinkPad E525、CPU:AMD A-8 3520M、16GB RAM、240GB SSD、500GB HDD

  1. USBメモリから起動後、root / nutanix/4uでログイン
  2. /home/install/phx_iso/phoenix/minimum_reqs.pyをviで編集
    以下の3つをコメントアウトして保存
    checkMemory (meminfo):GPUがUMSでメモリチェックに引っ掛かる場合
    checkVtx (cpuinfo)
    checkIsIntel (cpuinfo)
  3. rootからexitしてinstallユーザーアカウントでログインし、通常通りインストーラーを起動
  4. 以降のインストールは通常のCEと同じ
結局、NUCや最近のノートPCベースの環境を前提とすると高価になりがちなので、若干のスペースが許されるならば、いわゆるスモールフォームファクターサイズと呼ばれるビジネスPC(4Core CPU、メモリスロット4本)をベースに構築するのが最もコストパフォーマンスが良いという事になります。
概ねこの範囲が一般のご家庭におけるNutanix CE環境と言えるでしょう。


逸般の誤家庭 Level: Normal

ここからは一般のご家庭ではあまり見かけないスペックのマシンが前提となってきます。
Nutanix CE は1ノード(台)で完結して使用する事ができますが、3ノード以上でクラスターを組む事でNutanix 製品版と同等の機能を使用可能になる為、やはり3ノード以上(MAX 4ノード)で構成したい所です。
しかし、自宅に3台以上の物理マシンを置くというのもなかなかにハードルが高くなります。そこで登場するのがNutanix CE Nested Hypervisor 構成
ベースとなるHypervisor は最近ではAHV もNested 構成に対応しましたが、Nested 構成の基盤として使うにはCVM 分のオーバーヘッドが大きめな点、また情報量の多さからみんな大好き ESXi を使用するのが一般的でしょう。

ESXi 上にNested 構成でNutanix CE をインストールしている猛者たちの七転八倒努力の記録はこちら

さて、Nested 構成で3ノードのNutanix CE 仮想マシンを動作させるためのスペックは下記あたりでしょうか。ここでは様々な動作確認を行う事の出来るスペックを想定しています。

・CPU: Xeon(Sandy Bridge以降) 2GHz 以上、10Core(20T)以上
・RAM: DDR3 以降、 64GB(最小)128GB(推奨)
・SSD: SATA 1TB 以上
・HDD: SATA 2TB 以上
・NIC: Intelチップ 1GbE 以上

このスペックであれば、Nested 仮想Nutanix CE マシンにそれぞれ 6vCPU、RAM
:20GB(40GB)、SSD:300GB、HDD:600GB を割り当てる事ができます。

次に気になるのは揃えるために必要なコストですよね。個人の勉強用の環境に多額の費用を出せる人は多くないでしょう。しかし、上記のスペックを満たすマシンが最近では中古ワークステーションとして豊富に出回ってきていますので入手はそれほど難しくないでしょう。
一例としては下記のようなモデルです。
日本への送料込みで9万円弱
eBayなどでの購入に抵抗が少ない方は海外の販売業者を当たってみると探しやすいです。最初からメモリを128GB 搭載した機種もそこそこ数が揃っています。これに1TBのSSD (1万8千円弱: 2018年12月時点)を追加するだけで上記の推奨スペックを満たすマシンが手に入ります。お手軽ですね♪

上記マシン上に3ノード構成のNutanix CE クラスターを作成すると下図のような環境が出来上がります。

ようこそ、逸般的な誤家庭へ!

逸般の誤家庭 Level: Hard

さて、ここから一気にハードルが上がります。
Nutanix の各種機能確認は上のLevel Normal でも十分おこなう事ができます。では、Nested環境では難しい検証と言えば?
そうです、パフォーマンス検証や大量の仮想マシンデプロイですよね。これを実施するためには物理3ノード以上の環境が必要になります。
ここでは100user 分のVDI用VM のデプロイが可能な環境を作成する事を目標とします。

・ホストマシン: Normal で使用したスペックのマシン3台(SSDは500GBでOK)
・NIC: Intel X540 or X550チップ搭載 10GB-T対応NIC 各3
・10GBase-T対応スイッチ
NICとスイッチは好みに応じてSFP+対応のモデルでも良いでしょう。

今回、マシンは上記のHP Z420(中古ワークステーション)を3台、NICは Intel X550-T2を3枚、スイッチはNETGEAR製 XS708Tを用意しました。
それらを構成したのが下の写真
配線が汚いのはご容赦ください… ちなみに右下のマシンは我が家のXenServer 本番機、その隣はWin10 Desktop マシンです。

それぞれのマシンにベアメタルでNutanix CEをインストールし、クラスターを構成したのが次の図


クラスター全体のメモリ容量に注目です。Controller VM 使用分を引いても300GB 以上のRAMが使用可能です。


ノード間も10G で接続されています。


この環境でXenDesktop のMCS を利用した Win10VDI 100台のデプロイを試してみました。

わずか10分ほどで100台のWindows 10マシンがデプロイされ、マシンカタログが作成されました。(ADへのコンピューターアカウント登録に3分かかったので、Nutanix側の処理時間は7分程度)

100台のVMが3ノードで負荷分散されている事がわかります
各VMのメモリを2GB(実用的ではないですが)に設定したので、100VMの起動も可能でした。個人宅の検証環境でWindows 10 VDIを100台デプロイして起動。一昔前なら現実的ではなかったこのようなテストも Nutanix CEなら出来るんです。

※機器コストについては具体的には触れませんが、総額で250ccのバイク(SUZUKI製)が買える程度だとご理解ください。お買い得ですね!


さて、さらに上の 逸般の誤家庭 Level: Extreme Nightmare については誤自宅19インチラックな方々にお任せして筆を置きたいと思います。


#余談ですが、上記物理3ノードクラスターは家人の「邪魔」という圧により撤去される予定です。


それでは。

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